自作ガーデニング(手作りデッキ):2009/06/29掲載、2015/06/10追記

私は両親と一緒に2階建ての二世帯住宅を建て、半同居生活をしておりました。2005年に元気であった父も亡くなって、両親が使っていた1階部分も利用できるようになり、現在その一部屋を自分のオフィスにしております。

あまり広くはありませんが庭もあり、生前の父はこの庭で庭木や植木などを楽しんでおりました。この庭も私が手入れしなければならなくなりましたので、思い切って私好みの庭に変えていくことにしました。

まずは昔から憧れていたウッドデッキを自作することにしました。私の木工作では最大の作品となります。自作途中の写真が残っていないのですが、工夫した点や成功したこと、失敗したことをご紹介し、これからウッドデッキを作ってみようと考えている方々のご参考にしていただけたらと思います。

デザイン

最初にデッキの概略広さを決めますが、私は4人家族ですので、4人がテーブルを囲んで食事ができる広さを前提としました。具体的には3m四方程度としました。
形状は一般的な矩形ではなく、角を落としたオシャレな形状にすることとし、またワイフの提案で、2部屋から出入りできるようにするということで、現在の形状に固まりました。デッキの高さは家の室内のフロア高さと同一とし、室内とデッキの一体感を高めております。簡単な設計図を起こし、木材の必要量を拾いました。

材質

「ドゥーパ」などのウッドデッキの自作記事が良く掲載される雑誌を読みますと、ホームセンターで売られているSPF材は耐久性に問題があるようです。アイアンウッドのような耐久性のきわめて高い材料もありますが、非常に硬くて重く(水に浮かない)、ウッドデッキ初心者である私には加工が辛そうです。加工が楽な上に耐久性もかなり期待できるウエスタン・レッドシダー(カナダスギ)を採用することにして、毎年防腐剤を塗るなど、メンテナンスをしっかりやっていくことにしました。材料の購入はインターネット通販です。
2006年に作りましたので今年(2009年)で3年経過したのですが、雨水がたまってなかなか乾かないところが少し傷んできております。これを考えると、ほとんどメンテナンスフリーといえるアイアンウッドなどを、思い切って使っておけばよかったかもしれません。

基礎

庭にかつてアルミ製のサンルームがあったのですが、このデッキの自作のために、このサンルームを取り払ったところ、立派なコンクリートの基礎があることがわかりました。この基礎でデッキの主要部分はカバーできます。デッキの周囲のみ右の写真に写っている束石を使いました。この束石の下には300mm角のコンクリート平板を置き、本格的なコンクリート打ちは行っておりません。

床板

束柱は4×4材、根太は2×6材、床板は2×4材を利用しました。完成後、「表面の床板は2×6材でも良かったかな」と感じております。デッキの形状の関係で床板は中央部分から隙間を3mmにして、ステンレスのコーススレッド(特殊な木ねじ)を使って張り始めましたが、端に行きつく前に床板をまだ張っていない部分の前後の間隔を計測すると同じではなく、このままでは最後の板が台形になることがわかりました。その段階から隙間を調整して張っていき、最後の板が台形にならないようにしました。ただ、最後の板の幅が非常に狭いものになることが最後にわかり、ここだけは2×6材から切り出しております。
右の写真は床材として使ってはいけない木目の板を示しております。このような木目は時間が経過すると木目に沿ってはがれるようになってしまいます。雨水が溜まらないよう、板が反ったとき表面が凸状になるように表裏には気をつけましたが(本に書かれていた)、こんなことには気付きませんでした。

フェンス

ウッドデッキにフェンスを設ける場合、腰辺りまでの高さのものにすることが多いようです。しかし、これでは閉塞感が出てしまうと感じて、腰掛けられる程度の高さとしてみました。完成してみると、開放感が阻害されることなく、自分では大変気に入っております。

幕板

床板の木口を隠すためにデッキの周囲に張る板を幕板といいます。幕板の端が木口となって現れないように、斜めカットをすることになるのですが、長方形のデッキではありませんので、45度の斜めカットは1か所しかなく、他は変則的な角度となってしまいました。この斜めカットには後に紹介するスライド鋸が大活躍してくれました。
右の写真はこの斜めカット部分なのですが、完成直後はピッタリ合っていたものが、経年変化で隙間ができております。木の反る方向を考えて幕板の表裏を決めればよかったのですが、床板では気にしていたのに幕板では気にしませんでした。このあたりがプロとアマの違いなのかも知れません。幕板は根太にコーススレッドで留めたのですが、幕板同士をねじ止めしていれば、ある程度防げたかもしれません。

パーゴラ

あると何かと便利なパーゴラを設けています。家の軒が邪魔をして、あまり高さがないのですが、低いパーゴラはどこか落ち着くようにも感じます。形状は少し変わっていると思いますが、垂木の反り防止と一人での作業性を考えて、このような形状になりました。完成後1年経過したメンテナンス作業時に感じたのですが、垂木の間隔が狭く、作業性が悪いです。もっと広い間隔で本数を減らすべきでした。
パーゴラ用の柱は家側の2本は一体ですが、外側の柱は束柱とは切り離しております。強度の点からは一体にしておく方がよろしいのですが、高さの調整が難しいと考え、施工上の容易さを優先しました。そのかわり、四隅に斜めの板をつけ、全体で強度を高めております。

排水溝点検口

デッキが庭の排水溝を覆ってしまいましたので、その点検口を設けました。排水溝には落ち葉なども流れてきて、ときどき掃除をしなければなりません。なるべく目立たないように木目を合わせるため、一本の材料から取っております。
デッキ中央部分にも床下収納を兼ねる点検口を設けておけばよかったと完成後感じました。しかし、この部分は雨水が乾かずにいつも湿っているような状況らしく、今年(2009年)のメンテナンス時に木が腐りかけているのを発見しました。雨がやんだ後は、右の写真のようにふたを開けて、各部を乾燥させるように、今は気を付けております。

エアコン室外機カバー

材料をかなり余裕をみて購入していましたので、残った材料でエアコン室外機カバーを作りました。ウッドデッキ上に置かれた室外機は、その質感がデッキと全く似合いません。市販品もありますが、かなり華奢で気に入りません。庭で使う道具を収める引き出しをつけ、テーブルを兼ねて、頑丈な設計にしました。
引き出しは市販の透明なプラスティックケースを流用しました。このプラスティックは太陽の紫外線で劣化し、1年でボロボロになってしまいました。現在は同じものをつかっておりますが、表面にプライマーと高耐候性の塗料を塗ってあり、1年経過後も材質的には全く問題は出ておりません。
室外機カバーの上に乗っているのは、最後の残材で作ったテーブルです。デッキ上で一人もしくはワイフと気軽に一杯やるときに利用しております。

鉢植え台

デッキの周りを鉢植えで飾ると雰囲気が良くなると期待して、これも残材で作成しました。鉢植えもデッキに合わせて木製のものを使っているのですが、見た目は良いものの、陶器製などのものに比べると早く傷むのは否めません。
手前に写っている芝生や踏み石も自分で施工しております。

ガーデンパラソル

日差しの強い時期もデッキを使いたいので、日除けが必要になります。パーゴラによしずを広げて日陰を作っていたのですが、太陽の角度によっては、よしずの真下が日陰になるとは限りません。インターネットオークションでこのガーデンパラソルが出品されていることを知り、安く購入してデッキと組み合わせてみました。緑色のパラソルもあったのですが、人気が高いようで価格差がかなりあり、オレンジ色でも良しとしました。
片持ち式のパラソルはその軸を中心に回転して場所を移せますので、太陽の位置に応じて動かし、デッキ上にほど良い日陰を作ることができます。

メンテナンス

毎年ゴールデンウィーク前後の週末にデッキのメンテナンスをすることにしております。メンテナンスはデッキブラシで汚れを落とし、防腐剤入りのウッドステインを塗ります。デッキブラシをかける作業は骨が折れますが、汚れで黒ずんだデッキが元の赤みを帯びた色に戻ります。同時に木目の柔らかい部分を削るので、硬い年輪部分が浮き出て触った感触が何とも言えなくよろしいです。

スライド鋸

デッキ作成を決めた時に、作業性向上のためスライド鋸を購入しました。近くのホームセンターで最も安価なものを購入したのですが、この電動工具のおかげで大変正確な木材切断が可能になりました。ただし、私が購入したものは鋸の径が小さく、切り込み深さが足りませんでしたので、4×4材が1回で切断できません。その代わりスライド量が大きく、300mm幅の板まで切断できます。こんなに素晴らしい道具であることがわかっていたら、もっと早く購入していただろうと感じます。これからデッキを自作しようとお考えの方には、躊躇なく購入をお勧めします。
スライド鋸のほかにインパクト・ドライバも購入いたしました。購入前はインパクト・ドライバの動作がよくわからなかったのですが、ドゥーパなどの本で必要である旨が書かれていたので購入したものです。使ってみますと、通常の電動ドライバでは力不足で、デッキ製作には必需品であることを痛感しました。

なお、上でご紹介した写真以外のものも含め、拡大写真はこちらでご覧いただけます。

製作後4年が経過して:2010/04/28追記

毎年1回梅雨入り前、デッキブラシをかけた後、防腐剤を塗るというメンテナンスを続けてきましたが、実用上まだそれほど問題になっていないものの、一部が腐りかけてきております。排水溝点検口部分が腐りかけているのを昨年発見したことはすでに書いておりますが、この部分以外にも床板が根太と離れてしまっている部分が発見されました。つまり、根太が腐ってきており、床板を止めているステンレスのコーススレッドが根太から抜けてしまっているということです。ウエスタン・レッドシダー(カナダスギ)は木材の販売業者の宣伝文句ほどには耐久性を期待できないことが分かりました。根太や束柱は一旦デッキを組み上げてしまうと防腐剤を塗れませんし、雨上がり後の乾燥も遅れますので、耐久性という点では床板に比べると過酷です。根太と束柱はもっと耐久性の高い木材を利用し、床板は肌触りの良いソフトウッドという組み合わせが良いかもしれません。
また、4年間の利用でウッドデッキを快適に利用できる期間が意外に短いことも分かりました。冬季は寒くて長時間座って居られませんし、私は花粉症ですので、春先の長時間のガーデンライフは避けております。夏は蚊に悩まされ、3m四方の防虫ネットをパーゴラに吊るせるようにしていますが、毎回吊るのが少々面倒でこれまた長時間座っていられません。
余談ですが、蚊の出る季節に防虫ネット利用を予定しているようでしたら、防虫ネット(蚊帳)を先に入手し、手間無く簡単に吊るせるようにパーゴラのサイズや高さを検討することをお薦めします。また、防虫対策として電撃殺虫器を夕方から朝方まで通電しております。蚊が電撃殺虫器の中に入ってパチンという小さな音とともに殺されて小さくなる(水分が飛ぶ?)ところを見たことがありますが、一晩で高圧電線部分に多くの虫が付き、大変効果的です。これを利用し始めたとたん、庭に飛んでいる蚊の絶対量が激減した感じがしました。
私にとって快適にデッキを長時間利用できる期間は、結局花粉がなくなるゴールデンウィークから梅雨入りまでと、蚊のいなくなる秋から肌寒さを感じる時期までの合計3~4ヵ月/年程度です。もっとも庭にウッドデッキがあること自体は庭の雰囲気を良くしていますので、窓越しに庭を眺めるのは楽しみのひとつではありますし、冬でも雨が降っていない限り毎朝素足で部屋からデッキに出ますので、年間を通じてデッキを楽しんでいることには違いはありません。
ウッドデッキ自作記事をホームページに掲げている方の中には、市販のアルミ製ガーデンルーム(サンルーム)とウッドデッキの組み合わせで楽しんでいらっしゃる方がおられます。このガーデンルームは折り戸スライド式でフルオープンでき、オプションで防虫用の網戸も付けられるようです。現在のデッキが傷んで作り直すことになったときは、費用がかなりかかるようですが、私もこのガーデンルームと組み合わせて、1年を通してウッドデッキライフを堪能しようと考えております。

5年経過後の状況:2011/11/23追記

庭の柿の木の実を収穫していた際に、また新たなウッドデッキの腐り具合を見つけました。幕板をステンレス製のコーススレッドで根太に留めておりますが、根太の腐り具合が進んでコーススレッドが根太から抜けてしまい、幕板が外れかかっております。メンテナンスをしっかり行えばウエスタン・レッドシダーでも10年間は使えると期待していたのですが、この期待は裏切られそうです。床板はまだしっかりしているので、ウッドデッキの耐久年数を長くしたい場合は、根太をアイアンウッドやアルミ製にした方が良さそうです。


9年経過後の状況:2015/06/10追記

5年経過後に幕板が外れかかっていることを報告しましたが、完全に外れて下に落ちてしまいました。
幕板を外してみましたが、外目にはわからなかったことがいろいろわかりました。まず、シロアリではないようですが、幕板と根太にアリが巣食っており、内部はボロボロです。雨が降ると幕板と根太の間に雨水が染み込み、特に日当たりの悪い部分の痛みがひどいものでした。
排水溝点検口の周りの根太も傷んできていることを報告しておりましたが、この根太も腐って下に落ち、一部の床板がぶらぶらになってしまいました。この部分の床板には立つことができません。幕板を外してしまうと同時に、この部分の補修をしようと周りの床板を外しましたが、風通しが良く乾燥しやすい根太はほとんど傷んでいないことに気付きました。あまり凝った構造にせず、日当たりが良くて雨天後の乾燥が早ければ、材質がウェスタン・レッドシダーでも10年以上の耐久性が期待できることが分かりました。
今回得た教訓ですが、耐久性を重視するのであれば、床板の木口を隠すための幕板は設けない方が良いというものです。幕板はウッドデッキの体裁をとても良くしてくれますが、板と板を交差させるのではなく、張り合わせる構造ですので、その隙間に入った雨水はなかなか乾燥せず、材質の劣化が急速に進みます。体裁重視か耐久性重視か、天秤にかけて幕板の設置を決める必要があります。
デッキの傷み具合の写真はこちらでご覧いただけます。



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