3. モーターホームの実際の利用
3-1. 運転(車両感覚)
私はモーターホームをバンクーバで借り出し、その日はNORTH VANCOUBERのCAPILANO RV PARKでモーターホーム生活初日を過ごした。モーターホームのレンタル場所は空港近くであったので、NORTH VANCOUBERへはバンクーバ中心部を通っていく。この間、右側への車線変更で2回ヒヤリとした。右横が完全な死角になっており、全く見えないのである。その後はワイフを必ず助手席に座らせて車線変更や右折の時に安全を確認してもらった。しかし、慣れてくると余裕が出てくる。サイドミラーには直径7~8cmの球面の鏡が付いており、これで真横が確認できることが分かってきた。最初、慣れないと確認しにくいが、この鏡の利用に慣れてからは助手席にワイフがいなくとも、安心して運転ができるようになった。
モーターホームはバックが苦手である。バックモニターカメラなど装備されていなかったので、ワイフに外に出て見てもらうか、モーターホームの最後部の窓から安全を確認してもらっていた。観光地の駐車場では余裕があれば、モーターホームをバックしないで前進のまま出発できる状態で駐車したい。現にそうしているモータ-ホームを多く見かけた。
私の借りたモーターホームは車高が3.7mあった。出発前に日本でもらっていたモーターホームの取扱い説明書に、モーターホームの高さは最低でも「3.5m」という数値が出ていたので、実際に借りたモーターホームの高さも3.5mと最初から思い込んでいた。バンクーバーの有名なスタンレーパークの入り口には石でできたアーチがある。このアーチには入場するところで3.5m、退場時は3.6mという高さ制限が設けられていた。アーチ型なので中央部を走れば3.7mは大丈夫であろう。私は高さが3.5mと思い込んでいたので、何も考えずに初日に入場してしまったが、後で車高が3.7mと知り、ルーフエアコンを吹っ飛ばすところで冷や汗をかいてしまった。私が走った道で高さ制限の関係で問題があったのはここだけであったが、このスタンレーパークは多くの観光客が訪れるところであり、読者の中にも訪れようと計画されている方も多いと思うので、注意していただきたい。一度通過経験があったので、2度目に訪れた時にはこのアーチの中央部をゆっくり自信を持って(?)通過することができた。
2.4mの車幅ではホテルの駐車場が問題になった。バンフではリムロックリゾートというホテルに2泊したが、ここの駐車場の入り口は狭く、両わき数cmしか余裕がなかった。サイドミラー間が最も広い場所となっているので、まっすぐ進入している限りミラーさえかわせれば問題なく入る、と思っていたのであるが、この駐車場の入り口の両わきにあるポールに当ててしまった。「ベキッ」という大きな音がしたので「あっ、やってしまった」と思ってサイドミラーを見ると、この鉄製のポールが揺れている。降りてみると車体との間隔は止まった位置では十分にあり、ぶつかった跡も見当たらずほっとした。おそらくサイドに少し張り出しているサイドオーニングのポールが当たったのではないかと思う。なお、サイドミラーは運転席・助手席のドアーから長いサイドステーを出して、この先端に取り付けられていた。このドアーを少々勢いよく閉めるとミラー角度が狂ってしまう。取り付けねじの増し締めが必要であった。
特に問題が起きたわけではないが、バンクーバ中心部からNORTH VANCOUBERのCAPILANO RV PARKに行くまでの道路および橋の車線が狭かったので、緊張してしまった。
モーターホームの長さという点では、駐車場が問題となる。北米では幅のある車が元々多いので、駐車場では幅はあまり問題にならない。特にクラスCのモーターホームはその最大幅が大きくとも、運転席部分はバンのキャブ部分をそのまま流用しているので、扉を開いた状態は一般のバンと変わらないのである。バンフのパブリックパーキングは「NO RV's PERMITTED」というサインが出ており、モーターホームは駐車できない。RVといったら欧米ではモーターホームを意味する。日本のジープ型の四輪駆動車やワンボックスカーはRVとは呼ばない。私はバンフでは町のメインストリート正面にある公園近くのラクストン博物館の駐車場にこっそりおかしてもらった。バンクーバのスタンレーパークにはRV専用の駐車スペースが準備されている。一般駐車場より若干遠いところにあるので不満ではあるが、都心部ではいつも駐車場に悩むRVにとってはありがたかった。なお、駐車してその場を離れる場合は、貴重品を社内に残してはいけない。また、社内が見えないようにカーテンやブラインドを閉めておく。さらに、カーテンの隙間から覗かれても変な気を起させないために、荷物は見える場所に放置しないようにしよう。比較的治安のよいカナダでもこの程度の注意は払っておいた方が無難である。
高速道路での横風の影響もかなり受けるが、日本でワンボックスカーを運転している時に受けるのと同程度と感じた。
私の感じたモーターホームの長さ、幅、高さの問題はこの程度であり、郊外の交通量の少ない広い道路を走ることが多かったので、ここに述べた場所以外では大きい車を意識しないで済んだ。