レンタル・モーターホームで行く カナディアンロッキーの旅

4-3. レイク・ルイーズ
6月30日(金)
今日中にレイク・ルイーズまでたどり着けると、その後のスケジュールに余裕が出てくる。なんとか頑張ろうとハンドルを握ってサマーランドを後にした。

レイク・ルイーズに近づくに従い、モーターホームを頻繁に見かけるようになってきた。その中でもピックアップ・キャンパーが多いのは意外である。背中にどっさり荷物を背負わされた蛙のようなシルエットを見つけると、それはたいていピックアップキャンパーであった。ピックアップ・トラックはとりわけ農家にとって便利な乗り物なのであろう。道中農家にピックアップが止まっているのをよく見かけた。そのわきにはキャンパーシェルが細い4本足で立っている。

カナディアン・ロッキーの山並みが見え始める(写真4-4)。道路わきのサインにも動物に関する注意が多くなってきた。野生動物に会えるかもしれないと楽しみにし始めたとたん、野生の熊を道路わきで見つけた(写真4-5、4-6、4-7)。

夕方になってしまったので、キャンプ場を探しながら走ったが、なかなか適当なところが見つからない。あいにく雨も降り始めてしまった。結局レイク・ルイーズまで走ってしまった。まだ外は夕方という感じで明るいのであるが、7時を過ぎてレイク・ルイーズのキャンプ場に到着した。

レイク・ルイーズのキャンプ場は木立でサイトが仕切られているが、フルフックアップではなかった。電源のみのフックアップである。長く滞在するのであれば、バンフのキャンプ場の方がよいであろう。ここで割り当てられたサイトは71番であり、一番奥になってしまった。つまり、71サイトが一直線に並んでいるのである。しかも車と車の間隔がかなり離れている。入口から1km以上あるような感じである(写真4-8、4-9)。

このキャンプ場に限らないが、電源、上水道、下水道を接続する場所の配置がよく考えられておらず、電源コードが車の下を通るようにになってしまうキャンプ場が結構多い。キャンプ場の各サイトには木製のテーブルとイスが一体になったものが備えつけられているが、このテーブルのそばに電源等の接続口が配置されているケースが多い。これはどういうことかというと、モーターホームの居住部分への出入り口は右側についており、当然ながらサイドオーニングも右側に配置されている。モーターホーム側の電源、上水道、下水道の接続口はサイドオーニングの下での食事に不都合とならないように、左側に配置されるものが多い。私の借り出したモーターホームの上水道の接続口は後部にあったが、下水道と電源の接続口はモーターホームの左側に配置されている。サイトに停めている多くのモーターホームを観察したが、電源や水道を車の下を通しているものが多かった。下水道用のサワホースは比較的短いので、ダンプ用の孔の位置を考慮してモーターホームを駐車させなければならない。

簡単に食事を済ませ、サイトのすぐ近くから森の中に伸びているトレッキングコースを途中まで歩いてみた。外は結構寒い。涼しさを通り過ぎている寒さである。今晩は暖房を初めて使うことになりそうだ。「熊注意」の案内板が目立つ。「熊が出るぞ」と先を行く子供を脅かしながら、自分も若干の不安を覚えている。もう9時だというのに、外はまだまだ明るい。

7月1日(土)
今日は今回の旅行のハイライトのひとつのレイク・ルイーズと、そこにある有名なシャトー・レイク・ルイーズを見物する。しかし、4歳の娘が元気ではあるが、一昨日から微熱が続いており、日本から持参した風邪薬を飲ませていたが、今朝ついに38.4度に上がってしまった。医者を探して診てもらわなければならない。朝一番でインフォメーションに行って、医者を紹介してもらった。今日はちょうどカナダデーであり、医者も休みではないかと心配したが、開いていたのでほっとした。医院はインフォメーションの斜め向かいであり、立派なログハウスなので医院には見えなかった。

娘は扁桃腺炎持ちなのでそれを心配したが、単なる風邪であり、もう治りかけているそうだ。咳止めの薬だけをもらい、熱が下がらないときのために解熱剤の処方箋をもらった。1~2日してもまだ熱があるようだったら、薬屋で買うように言われた。外国で医者に行ったのは初めての経験だったが、事前に心の準備もでき、辞書も持って行ったので、それほど緊張しないで済んだ。しかし、この数日後、息子の怪我がひかえているとは夢にも思わなかった。

アイスフィールド・パークウェーでは、医者の建物に限らず看板や案内板も含め、周りの自然環境に溶け込むようなデザインで統一されていて、とてもよい印象である(写真4-10~4-12)。大自然と人工物がうまく調和して我々観光客を楽しませてくれる。

レイク・ルイーズに入る前に、高速道路の通行料を支払うようなゲートを見つけた。しかし、すべての車線にあるわけではなく、また、すべての車が立ち寄っているわけでもない。私は最初なんだかわからず、その時は通過してしまった。レイク・ルイーズの駐車場に入るところで、係員から国立公園滞在税の支払いを証する紙(写真4-13、4-14)が貼られていないことを指摘された。その時初めて例のゲートを思い出したのである。その場でこの税金を支払い、事なきを得た。

レイク・ルイーズではボートに乗って遊んだ。この手漕ぎボートのレンタル料金が30分で$25と結構高かった。ボート屋の受付まで来て料金が高いのを見て引き返す人が多い。家族全員がライフジャケットを着込んで湖へ漕ぎ出す。岸から離れるにつれ、観光客の話し声や流れている音楽が聞こえなくなり、静寂に包まれてくる。聞こえるのはオールが水をつかむ音だけである。湖畔には遊歩道があり、多くの人が歩いている。気持よさそうであるが、我が息子と娘は歩く事があまり好きではないので、ボートを借りることにしたのだ。借りたのは30分間であったが、結構湖の真ん中の方まで行けて、静寂を楽しめた。

レイク・ルイーズでは多くの東洋人を見かけた。最初日本人の団体ツアー客かと思ったが、ほとんどが中国語を話している。バンクーバでは中国本土や台湾、最近では1997年に中国返還が決定している香港からの移民が急増しており、30万人ものコミュニティができているそうである。カナダに移住しようとするような中国系の人々はきっと裕福であり、旅行も頻繁に楽しんでいるのかもしれない。バンクーバではこの中国人のコミュニティ向けに北京語や広東語の新聞の発行や放送が行われ、英語紙や英語放送よりもまじめで、広告も多いそうである。

レイク・ルイーズで遊んだ後、バンフに向かう。バンフでは思いっきりアウトドアアクティビティを楽しむつもりで、ホテルを予約してある。バンフではバンフ・スプリングス・ホテルが余りにも有名であるが、私は新装オープンしたばかりのリムロック・リゾートというホテルを選んだ。ホテルには比較的早く到着しそうであったので、その前にゴンドラでSulphur Mountain見物に出かけた。ゴンドラが動き出すと駐車場を上から眺められる。我がモーターホームを上から眺めたが、やっぱりでっかい。ゴンドラの終点から木材を組んだ遊歩道(ウッドデッキ)が始まり、サルファー山頂まで続いている。その道中蚊がやたらに多く、悩ませられた。山頂からの眺めはなかなか雄大であり、楽しめる。

ホテルに着いたころから、一旦止んでいた小雨がまた降り始めた。しかし、雨にもめげずにホテルのシャトルバスで、バンフのダウンタウンへ繰り出すことにした。リムロック・リゾートは周りが森に囲まれて静かでよいのであるが、シャトルバスを15分乗らないとダウンタウンにたどり着けないのが不便だ。

久しぶりに手足を伸ばしてホテルの風呂に入り、さっぱりできた。外国映画でよく見るバスタブに石鹸の泡を一杯にして入ったら、子供たちは大喜びであった。

明日はアクティビティを楽しめるような天気になることを祈って眠りについた。