3-12. フックアップ時の作業
フルフックアップ設備の整ったキャンプ場で行なう上下水道と電源のフックアップ作業の詳細を説明しておこう。
まず、電源のフックアップをする。上下水道のフックアップ作業の後は、手が濡れていることが多いであろうから、感電を防ぐためまだ手が乾いているうちに電源をフックアップした方が良い。キャンプ場により電源プラグは異なり2種類ある。一つは大型の円形プラグである。このタイプのコンセントのあるキャンプサイトであれば、プラグアダプタは要らない。もう一つのタイプは日本でも見かけるアース付き3端子のものである(写真3-2)。最近のOA用の電源延長ケーブルで見かけるタイプのものである。このタイプのコンセントが設備されているキャンプサイトでは、そのためのアダプタをつけてフックアップすることになる。このアダプタはモーターホームに常備されている。私が滞在したキャンプ場は半々の割合でこの2種類のコンセントが設備されていた。水道のホースとは異なり、電源ケーブルは車体から外すことはしない。車体側のケーブルが接続されているところがケーブルの収納スペースになっており、この収納スペースの中に発電機を利用する場合に接続するコンセントもあった(写真3-1)。これはモーターホームにより異なるかもしれない。私が借りたモーターホームは車内から発電機を始動できるスイッチがあったので、キャンプ場を出発する際、フックアップを解除した電源ケーブルのプラグをこの発電機用のコンセントに接続しておき、室内から発電機を始動しさえすれば、車内の電気製品をすぐに利用できるようにしていた。
次は上水道である。下水道のフックアップ作業を先に行うと、汚水が手につく可能性があるので、この汚れた手で上水道のフックアップ作業はしたくない。したがって、次の作業は上水道のフックアップ作業になるのである。上水道をフックアップする際、清水タンクが満タンでない限り、忘れないうちに清水タンクに先に水を補給しておこう。私はこれを忘れて、途中水を節約しなければならないことになってしまった。清水タンクの給水孔は、上水道を車体側のフックアップするところと同じところについている場合が多い(写真3-3)。上水道のホースの接続はワンタッチ式ではなく、ねじ込み式である。このねじ込みが少々やりにくかったが、この部分には上水道の圧力がかかるので、しっかり接続しよう。車体側の上水道の接続部分はホースをよけて蓋ができるようになったおり、この蓋は鍵をかけられる。いたずらをされないようにという配慮からであろうが、この蓋はプラスチックでできており、簡単に曲がるので、鍵をかけておいても簡単に外れてしまう代物であった。ここまでの作業を終了した状態が写真3-4である。
最後に下水道をフックアップするためのサワホースの接続である。サワホースはその中をブラックタンクに溜まった糞尿が通り、グレイタンクに溜まった比較的きれいな水で洗い流すとはいえ、やはり汚れている。この汚れたサワホースは一般の格納庫に収容することは問題があるので、専用の収納スペースが準備されている。(写真3-5、3-6)この収納スペースからサワホースを取り出し、最初に車体側を取り付ける。車体側接続部分の蓋を先に取るが(写真3-7)、蓋を取る際に中から少量の汚水が出てくることがあるので、サワホースでそれを受けられるようにしながらこの蓋を外すとよい(写真3-8)。取り付けはサワホースの一端がエルボウを兼ねたジョイントになっており、少し回転しながら接続する(写真3-9、3-10)。サワホースの他端には何のジョイントもない。端をダンプ用の孔に突っ込むだけである。風が強くなるとこれが外れてしまう恐れがあるので、石などを載せて外れないようにしておきたい(写真3-16)。前述したように、サワホースの取付は手が汚れる可能性があるので、できればゴム手袋を準備しよう。サワホースを接続してもブラックタンクとグレータンクのバルブを直ちに解放し、フックアップ中は解放のままにしておくということではない。ブラックタンクには固形物(要するにウンチ)があり、ある程度の量が溜まらないとこの固形物が一緒に流れてくれないからである。また、グレータンク内の排水は比較的きれいであり、ブラックタンクの排水をして汚れたサワホースの内部を、この比較的きれいなグレータンクの排水をすることによって洗浄する。したがって、グレータンクもある程度溜めておかなければならない。
なお、サワホースに孔が開いていたりすると他人に迷惑を及ぼす恐れが大きいためだと思うが、私の借りたモーターホームには予備の新品のサワホースが備えられていた。
フルフックアップは一般的には上下水道と電気を接続することであるが、キャンプ場によっては他にテレビアンテナと思われる同軸ケーブルがサイトまで来ているところもあった。また、電話線まで引かれているところがあるそうである。
電気および上下水道をフックアップしても作業は終わりではない。上水道を接続していないときは、モーターホーム自身で持っている清水タンクから水が供給され、これにはウォーターポンプが利用される。上水道をフックアップすると上水道が持っている圧力が利用できるので、ウォーターポンプのスイッチを切ることになる。
冷蔵庫は一般的には電気およびガスの兼用型である場合が多い。移動中は電気もしくはガスで駆動しておき、電気をフックアップしたら電気駆動に切り替えることになる。キャンプ場の電気使用量は常識的な範囲内であろうが、いくら使っても超過料金を請求されることはない。
温水ボイラーの付いているモーターホームはここでスイッチを入れよう。一般的にはガスボイラーであろうが、中には電気ボイラーのものもあるかもしれない。私は走行中はボイラーのスイッチを切っておき、フックアップした後スイッチを入れることにしていた。
この後、必要であればサイドオーニングを引き出すことになる(写真3-17~3-24)。日本のキャンピングカーではピラーも一緒に収納する四角い断面形状をしたタイプのサイドオーニングが多いが、カナダのレンタルモーターホームに装備されているサイドオーニングはロールアップされたシートがむき出しで、端が車体に固定されたピラーを持つタイプのサイドオーニングが多い(写真3-18)。車体に固定されていると見えるこのサイドオーニングのピラーは、実は外して地面に立てることもできる(写真3-17、3-24)。地面に立てた方が交通の邪魔にならなくてよいのであるが、風を巻き込んでシートが持ち上げられた場合のことを考えると、寝る前にはロールアップしておくべきである。オーニングの出し方は、まずピラー(アーム)のロックとオーニングのロール部分のロックを外す(写真3-17、3-18)。オーニングと一緒に巻き込まれている引出用のテープ状のひもに、引出用の金棒の先端をひっかけてオーニングを引き出す(写真3-19)。引き出されたオーニングの張り出し量を固定する横棒をスライドさせ、ローラー部分で固定させる(写真3-20、3-21)。その後、ピラーの長さを調整してオーニングを好みの高さにする(写真3-22、3-23)。
キャンプ場を出発する際にフックアップを解放する順番も同じである。すなわち、電源、上水道、サワホース(下水道)の順番である。サワホースを外した後、そのひだにまだ汚水が残っているので、充分にサワホースを圧縮してこの汚水を流しておこう(写真3-25)。これをしないでサワホースをしまおうとすると、臭い思いをすることになる。サワホースは圧縮した状態のまま、専用の格納スペースにしまう(写真3-26)。
キャンプ場を出発する際に、フックアップを外すことばかりでなく、後部ドアのところに付いているステップを引っ込めるのを忘れないようにしよう(写真3-24)。